Guy Fawkes Dayを生きる香港の若者たち
British Holidays - Guy Fawkes Day
V For Vendetta (2005) - Remember, Remember the 5th of November
2019/11/05のGuy Fawkes Dayは香港で覆面禁止法が施行されてから1カ月となり、街はマスク姿で抗議する人であふれました。ハッカー集団「アノニマス」も着用した「Guy Fawkes mask」に込められた意味を考えてみましょう。
Guy Fawkesは今から414年前の1605年、イギリスで王を殺害しようとした事件の実行者とされる人物です。ちょうど11月5日がその事件の日にあたりますが、事件そのものは失敗しました。現在では11月5日は、王の無事を祝う祭りが行われる「Guy Fawkes Day」として知られています。王に反抗したこの事件の内容から、彼の顔を模した「Guy Fawkes mask」が「権力者への抗議」のシンボルとして使われるようになります。
最も有名な抗議活動が「アノニマス」運動です。アノニマスは各国政府による抑圧やテロ行為に対してハッキングなどの手段で対抗する集団で、各地でマスクを着用して抗議活動などを行っています。2018年からフランスで続く「黄色いベスト運動」でもこのマスクが着用され、燃料税の引き上げへの反発からマクロン大統領の辞任を訴える運動に発展しました。また、スペインのカタルーニャ地方の独立運動や、スマホアプリへの課税から大規模な反政府デモに発展したレバノンでも参加者が着用する姿が確認されています。
香港では10月からよく見られるようになりました。香港で顔を覆うマスクなどを使用して無許可のデモに参加するのを禁じた覆面禁止法の施行から1カ月となった2019/11/05、大勢の参加者が抗議のためにマスクを着用してデモ隊のテーマソングとなった「香港に栄光あれ」を合唱しました。
香港では「覆面禁止法施行から1カ月」と「Guy Fawkes Day」が重なりました。その前日に林鄭行政長官と中国・習主席が会談するという大きな動きがありました。会談ではデモ対策の強化が指示されたとみられ、民主活動家らは警戒感を強めています。
香港ではデモ隊が訴える行政長官の普通選挙は実現されていませんが、その代わりに今、注目が集まっているのは今月11/24に行われる区議会選挙です。政権の運営には影響力を持ちませんが、議員の一部は行政長官選挙に投票権を持つ選挙委員に選ばれることになります。今回の選挙の立候補者数は過去最多です。多くの若者も声を上げています。
11/24の選挙に向けた戦いは、ほぼすべての選挙区で中国本土との関係が深い親中派と、デモを支持する民主派が対決する構図となり、ポスターが破られるなど激しさを増しています。会計事務所職員の梁凱晴さん(25)は当初、ボランティアで民主派候補を手伝うつもりでした。しかし、親中派の候補が無投票で当選しそうな選挙区があることを知って立候補しました。民主派として立候補した童継民さん(32)は、香港を拠点とするキャセイパシフィック航空の客室乗務員ですが、デモに参加した従業員が中国の航空当局による圧力で解雇されたため、出馬には迷いがあったといいます。しかし、「デモ参加者はリスクを背負って香港の未来を変えようとしている。(立候補して)解雇されるかもしれないと悩むことは小さなことだ」と言っています。一方、現職の区議で中国・青島市の政協委員も務める余志栄さん(60)は「今回の選挙は政治を争点にするべきではない、区議はあくまで地域の生活環境を良くするために全力を尽くすべきだ」と主張します。資金力と組織力で勝る親中派と、若者が支える民主派の支持はほぼ拮抗しています。
「私は自殺しない」学生記者が逮捕時に宣言!不審死があまりにも多い 2019/11/05公開 by NTDTV
'It is a war here now.' Inside Hong Kong's fight for freedom. 2019/11/01公開 by Washington Post
市民投稿型ニュースサイト「8bitNews」を主宰するフリージャーナリストの堀潤氏が、生の香港を取材しています。”11月2日、香港島ビクトリア公園では区議会議員選挙を控えて候補者の演説などが予定されていたが、警官隊と衝突。候補者にも逮捕者が出た。また中心街では250度にも達する高温の催涙弾が次々と浴びせられ大火傷を追う若者も。そうした中、デモに参加する若者たちの自宅を訪ね歩き、彼らの本音を聞いて回った”。