芹乃栄(せりすなわちさかう)

七十二候・小寒の初候「芹乃栄:せりすなわちさかう」の時節(1/5~1/9)に変わり、春の七草のひとつ、セリが盛んに生える頃となった。セリは『古事記』『日本書紀』の時代から文献に登場し、人と深く結びついてきた日本最古の野菜である。昔から、冬の間は土中で眠っていた種が次々と芽を出す春には「にがみを盛れ」と言われてきた。これは、芽吹く時期には、にがみのあるものを食べ、冬の間に体内にたまった老廃物を出して、ビタミンやミネラルを摂り入れよという昔からの知恵である。1月7日は、七草粥の日。「せり なずな ごぎょう はこべら ほとけのざ すずな すずしろ」が春の七草である。春の七草を入れてお粥を作り、正月の祝膳や祝酒で弱った胃を休め、一年間の無病息災を願って食べる。

山形県白鷹町にはこんな民話がある。孝行息子が「親を若返らせてください」と祈ると、夢枕に神さまが立って「七日正月の日、七草を食べて何千年も生きてきた白鳳という鳥がいる。鳥にみつからないように六日に七草を摘み、親には歯がないから叩いて柔らかくしてセリを混ぜ、七草粥にして食べさせよ。鳥が帰る酉の刻までにみなで食べよ」とのお告げがあった。息子が言われたとおりにすると、毎年10歳ずつ若くなり、末永く親子仲良く暮らしたそうだ。町ではこれが七草粥のはじまりと伝えられている。


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二十四節気 七十二候 名称 意味
小寒(1月5日ごろ) 初候 芹乃栄(せりすなわちさかう) 芹がよく生育する
次候 水泉動(しみずあたたかをふくむ) 地中で凍った泉が動き始める
末候 雉始雊(きじはじめてなく) 雄の雉が鳴き始める
大寒(1月20日ごろ) 初候 款冬華(ふきのはなさく) 蕗の薹(ふきのとう)が蕾を出す
次候 水沢腹堅(さわみずこおりつめる) 沢に氷が厚く張りつめる
末候 鶏始乳(にわとりはじめてとやにつく) 鶏が卵を産み始める
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