緊急事態宣言と私たちの責任

東京都内の新型コロナウイルスの感染者数の急増を受けて、緊急事態宣言の発令が秒読み段階に入ったとの観測が広がっている。2020/03/26に政令を変更し、新型コロナウイルスを感染症法の33条の適用対象に組み入れることで、安倍政権は強制力を持たない「新型インフルエンザ等対策特別措置法:2020/03/14施行」を遙かに超える、都市のロックダウンのような強い法的措置を実行しようとしている。ところが、新型インフルエンザ等対策特別措置法を根拠として、都市封鎖(ロックダウン)などの法的措置を実行する動きに付随しては、次のような社会制度・システムの崩壊とも言うべき危険(リスク)が伴う。

<1>法手続きの正当性の欠如・崩壊リスク

<2>生命・財産の安全を二の次にしたコロナ・ショックの政治利用・工作

<3>効果・効用の周知・説明の不足が感染爆発を招く

<4>社会的影響・副作用の大きさの認識欠如と愚策対応

<5>発令中の緊急事態宣言をどうする

緊急事態宣言を取り巻く動きについて、日々刻々の事態変化を視野に入れて、上記項目に沿って随時加筆したい。

首都封鎖の根拠となる法手続きの正当性の欠如・崩壊リスク

都市封鎖(ロックダウン)などの法的措置が新型インフルエンザ等対策特別措置法を根拠法として、法的手続きの不備な政令を拡大適用して実施されようとしている。法手続きを軽視する政権による今回の恣意的法運用は、健全な法システムや三権のバランスを破壊し、歯止めなき暴走に繋がる危険を露にしている。私たちが注意しておかなければならない具体的な法的手続きの経緯については、ジャーナリストの神保哲生氏が法律の専門家や政治家の方に聞いてレポートしているのでご覧頂きたい。

新型コロナウイルスの蔓延を防ぐためには、ある程度の私権の制限がやむを得ない場合もあるだろうし、強制力を伴う施策が必要になる場合もあるだろう。しかし、それには透明性のあるデュープロセス(適正手続き)と、国民に対して真摯な説明が尽くされることが大前提となるはずである。異なる目的で作られた法律を無理矢理適用したり、国会審議を経ずに政令の変更だけで強大な私権を制限する権限を手にして運用しようとしている政権の姿勢には大きな疑問が残る。

無理矢理のロックダウン実行のような権限の行使は、後に憲法改正を目論む政権の求心力にならないこと、後の訴訟リスクの責任を誰もとれないことなどの理由で、個人的には実行できないだろうと推察している。

生命・財産の安全を二の次にしたコロナ・ショックの政治利用・工作

新型コロナウイルスが日本で医療崩壊を伴って感染爆発を起こすことで私たちの生命に危機が及ぶ。新型コロナウイルスの感染を恐れて自ら予防・自粛すること、さらに都市封鎖のような強行手段が実行されることで人・物の流れが止まりコロナ・ショックと言うべき経済恐慌が引き起こされ、私たちの生活の糧(食糧・収入)の確保手段が閉ざされる。この状態が長期間継続することで展開する企業の倒産、国家の財政破綻への展開も視野に入れなければならない。新型コロナウイルスは人心のパニックと経済恐慌(パニック)を複合的に伴う「コロナ・ショック」を社会で爆発的に拡げており、私たちの生命・財産の安全を脅かしている。

ところが、日本でコロナ・ショックに対応している日本の行政の組織・構成員は、私たちの生命・財産の安全を二の次にして、自らの責任を放棄して保身を図ることに懸命になっている。正直言って目を疑うようなコロナ・ショックの政治利用・工作の現実を記していきたい。

(I)習近平国賓来日だけを理由に中国経由の入国禁止しなかった水際防疫の失敗
(II)五輪中止を阻止するために感染者数をコントロールする政権の工作
(III)都知事選挙の選挙演説と防疫を混同している都知事のパフォーマンス
(IV)国民の命ではない都合(選挙の取引材料、株価PKOの都合など)で決められる首都封鎖の日程
(V)厚労省+似非リベラルによる倒閣運動
(VI)Googleなど用いたネット規制による世論操作・プロパガンダ
全貌は別の機会にして本稿では(V)の一事例のみについて記した。

医療崩壊を招いている真犯人は国内感染者の3割を占める外国人

国内感染者の3割を外国人が占めており、日本の感染症病床が不足する形で医療崩壊を招いているが、その真犯人は外国人であるという事実がチャネル桜などのネットメディアで報道されている。新型コロナウィルスの発生で、政権が先頭になって音頭を取ってきた観光立国政策は、日本人ファーストではなく、言わば中国人ファーストの国家反逆の謀略政策であったことが明らかになってきている。

安倍政権の失策ではあるが、厚労省の作為的な行政運営と相まって、国益を護る最低限の仕事さえ実行していない行政の実態に失望する。この問題は、情報開示請求して実態を明らかにし、事実をより多くの有権者に知らせて、投票行動へとつなげてほしい。厚労省は、新型コロナウイルスを感染症に指定することで入国してPCR検査を受ける外国籍の人について、診察費も入院費も原則徴収しない緊急措置をとっている。防疫という国益を護る大切な行政に、外国人を差別しないという建前を持ち込んで厚労省が運用しているために生じている抜け穴を、賢い中国人が私的に悪用している(もしかしたら中国共産党が戦略的に利用している)手口であり、厚労省はこの点を追求されると都合が悪い為に、事実を隠蔽していることは明らかであろう。

厚労省は安倍政権のアキレス腱になっており、第一次安倍内閣が「年金情報記載漏れ、漏洩・隠蔽問題」で辞任に追い込まれた時も悪役を演じ、第二次安倍内閣になっても「森友問題」から直近の「マスク配布事件」まで、そして特にこの「感染症患者国籍の隠蔽」においても、すべて厚労省など官僚が主導して自ら失策・犯罪を実行する中に安倍内閣を巻き込んで共犯関係を作って、倒閣を目論むという手口を使っている。

効果・効用の周知・説明の不足が感染爆発を招く

都市封鎖(ロックダウン)を行なうとすれば、その目的は感染爆発の防止であり、目指すべき効果・効用は「医療崩壊」に伴う院内感染と患者の重症化(死亡)の防止である。京都大学の研究組織である京都大学レジリエンス実践ユニットの藤井聡氏が「医療崩壊」の深刻さについて丁寧に説明している。そして「医療崩壊」を食い止めるためにとるべき対策は、優先順位をつけて実施すべきことを提案している。私権を厳しく制限する「都市封鎖」という方策は、すべての方策を実行しても感染爆発が防止できない場合にのみ採用する最終手段であることを胆に銘ずるべきであろう。

これまで水際防疫で優等生だったシンガポールでも、感染に歯止めがかからない状況になっている。症状のないCOVID-19感染者を見分ける方法がないし、全人口のPCR検査を行なったとしても、物理的キャパシティと精度の問題で、人口や面積の限られているシンガポールであっても、防疫による完全抑制は不可能だという結論になる。

全ての市民に正確に状況を周知・説明して自粛を徹底し、もしかして感染の危険に遭遇したり、少しでも疑わしい症状を自覚している人に、正しい自己隔離の方法を案内していくことでしか感染を防ぐ方法はないと考える。この感染拡大は時間をかけてCOVID-19に対する抗体を持つ人数が増えていき、ウイルスの感染力(基本再生産数:R0)が下がっていく、集団免疫に到達しなければ終息しないだろう。

一人ひとりが自ら感染した場合に親愛なる他者(家族や友人の中で高齢者や持病を持つ免疫力弱者)の命に危険を及ぼすことがないようにという、思いやりをもって生活していくしかない。一方で、権限を委譲された地方自治体レベルの責任者が、短い時間に狭い地域で感染爆発をさせないように、医療崩壊を起こさせないように、住民への極め細やかな情報提供をしながら、そして地域経済の活性も維持しながら感染を制御していく必要があるだろう。

リアルタイムの患者数と感染症病床使用率

現在の患者数と感染症病床使用率がこちらにリアルタイムで更新されている。有志がボランティアで公開情報を整理しているものであるが、このデータより東京よりもその周辺(千葉、埼玉、神奈川)の感染症病床が満杯となっている実態が把握できる。

首相や都道府県知事が自ら目立って危機だけを煽る意味不明な会見をしなくても、このダッシュボードを一目見れば、医療現場の現状を把握でき、私たち自身が患者になることの危険や他者に感染を及ぼすことの危険について、誰もが理解できる。一人ひとりがどのような意識で注意・警戒をすればよいかははっきりしている。

社会的影響・副作用の大きさの認識欠如と愚策対応

この度のコロナ・ショックの騒ぎは、中国(ウィルス)と米国(金融)を震源地としているように見えたが、これは始まりである。もうこれはウィルスの問題ではなく、コロナ・ショックという金融システムパニックとなって世界に波及してしまった(詳しくは「大恐慌の警戒」参照)。
藤井厳喜氏が「ワールド・フォーキャスト」などで言及しているが、コロナ・ショック以前から米トランプ大統領は中国経済に対する制裁を実行してきており、米中ハイテク冷戦が深刻化してきていた。ここにコロナ・ショックが起こり、世界主要国の主要都市で人の移動が制限され、物資は自国での調達へと回帰しようとしており、世界的な対立構造と保護主義を優先する政策がむしろ鮮明になってきている。
このような推移で大恐慌に突入して、ウィルスに感染して命を失う人数より、生活に困窮して命を絶つ人数が圧倒的に多くなることが予想されるため、個人としても落ち着いて準備し、政府としても早急な対応をする必要がある。
日本において首都封鎖を伴う緊急事態宣言を発令しようがしまいが、実際に世界で展開しているコロナ・ショックという金融システム・パニックを止めることができない事態に入っている。まさに世界の市民から生命と財産を奪う戦いという意味で、第三次世界大戦に突入している。この事態を理解しないで政府が無能・無策を続けるならば、この政府を選択した日本の国民は、避けることのできない悲劇を再び経験するだろう。

世界の歴史を変えたスペイン風邪(1920年)やペスト(1720年)についても、今回の武漢肺炎ウィルス(2020年)と同様に中国の風土病が世界に蔓延したものとの有力説の言及がある。

ペスト-1720、コレラ-1820、スペイン風邪-1920、武漢肺炎ウィルス-2020

発令中の緊急事態宣言をどうする

忘れられているが、日本には現在発令中の緊急事態宣言がある。それは、9年前に起こった東日本大震災の際に出された「原子力緊急事態宣言」である。福島第一原子力発電所事故に伴う放射能汚染について、「状況はコントロールされている」と嘘をついて五輪を誘致し、その後も命よりも五輪を崇拝して政権を運営する安倍政権は、発令中の緊急事態宣言についてただ放置し続けているのみである(詳しくは、「五輪中止を決断すべき4つの理由」、「脱原発、汚染水をどうする?~続き」など過去の投稿を参照)。東京封鎖の緊急事態宣言を発令する前に、原子力緊急事態宣言に対する政府の対応責任を問いたい。あの時、九死に一生の幸運を得た私たち日本人は、"喉もと過ぎれば熱さ忘れる"と言われる通り、政権に対して監視さえも怠ってきたことを反省することがその第一歩になると考える。

「原子力緊急事態宣言」とその後の経緯は、非営利のオルタナティブメディアであるOurPlanet-TVがウオッチを続けて報告をあげているので振り返ってほしい(以下、OurPlanet-TV記事引用)。
原子力緊急事態宣言の対象区域「わからず」〜内閣府が回答
投稿者: ourplanet 投稿日時:2019/02/27

3・11以降の避難・除染基準をめぐる経過

2019年
福島原発事故後の基準値を検証へ〜放射線審議会(1月9日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/2172
線量論文の誤り「遺憾だが影響ない」〜原子力規制委員長(1月9日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/2356
 
2018年
個人線量計で被ばく管理〜帰還困難区域の帰還に向け(12月12日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/2338
個人線量データの不正提供か〜福島県伊達市(12月6日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/2335
被曝線量の目安「毎時0.23」を検証へ〜放射線審議会(1月19日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/2213
 
2017年
福島原発事故後の基準値を検証へ〜放射線審議会(9月25日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/2172
 
2015年
被ばく線量目標、国が設定せず〜原子力規制委員長(10月28日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1995
「帰還ありき」に有識者から異論相次ぐ〜避難解除に向け(10月16日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1658
「20ミリは高すぎる」〜南相馬・避難基準裁判始まる(9月28日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1982
「新たに避難する必要はない」被災者支援方針を閣議決定(8月24日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1964
「自主避難者の支援は不要」〜規制委・田中委員長がお墨付き(7月22日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1948
支援対象地域「避難する状況にない」〜規制庁が独自見解(7月21日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1947
「帰還の強要」撤回を求め提訴〜〜南相馬特定避難解除(4月22日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1908
 
2014年
除染基準緩和〜空間線量から個人被ばく線量へ(8月1日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1814
帰還の切り札だった「個人線量」半年公表せず〜支援チー(4月21日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1763
 
2013年
1ミリへの道筋なく20ミリで避難解除〜規制委・議論打ち切り(11月10日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1673
第2回 帰還に向けた安全・安心対策に関する検討チーム(10月3日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1652
「年1ミリ達成は数十年後〜避難解除に向け政府方針」(9月17日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1646
首長発言も黒塗り〜線量基準策で住民置き去り浮き彫り(9月18日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1647
復興大臣「100ミリ以下の健康影響わずか」支援法基本方針(8月30日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1639
支援法の基本方針〜線量基準なく既存政策寄せ集め(8月29日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1638
避難解除に向け、規制委が「安心安全対策チーム」設置(8月28日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1636
帰還の切り札「新型線量計」とは?〜被曝量を自己管理へ(8月1日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/2213
20ミリ避難基準の転換を〜国連勧告の受け入れ求め緊急集会(5月30日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1592
「避難基準の厳格化を」日本に勧告〜国連人権理事会(5月28日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1589
「線量基準」原子力規制委が検討へ〜子ども被災者支援法や除染目標(3月22日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1558
子ども被災者支援法「基本方針」がふりだしへ〜解釈めぐり激論(3月19日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1556
「被害実態を踏まえていない」〜原発被災者支援策に抗議の声(3月15日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1555
 
2012年
年間20ミリの避難基準を非難~国連報告者(11月26日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1470
千葉・9市が復興庁へ緊急要望~子ども被災者支援法(2月16日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1539
「被災者の意見を反映させたい」子ども・被災者支援議連発足(1月22日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1514
「子ども被災者支援法を軸に」福島県医師会が要望(12月7日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1499
一刻も早く具体策を~平野大臣に福島の被害者訴え(11月28日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1471
【被災者支援法】1ミリ目指す〜「避難の権利」へ大きな一歩(6月14日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1381
 
3.11後の映像アーカイブ(1)~20ミリ基準をめぐって(2014年3月11日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1740

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