「カエルの楽園2020」を読んで

百田尚樹が「小説家になろう」サイトに新作投稿

この小説は、日本の放送作家、小説家として知られている百田尚樹(1956年(昭和31年)2月23日生)さんが、「小説家になろう」というアマチュア小説家の投稿サイトに公開したものだ。2020年5月6日(水)07時47分に掲載されたこの小説は、2020年5月8日(金)の朝の時点で累計238,237アクセス(46,695人のユニークアクセス)の閲覧を獲得している。ユニークアクセスの全ての人が読破したかどうかはわからないが、書籍が1万部売れれば作家・随筆家として認められるこの時代に、2日で数万人の読者の目に入ったことは一つのニュースと言っていいだろう。
ところで、サイトのアクセスでは、日間総合9位(週間総合51位)にランキングされており、3日前に突然登場した百田氏は、サイトの常連投稿者ではないので、サイト内での知名度・浸透度が無いことを勘案しないといけないが、彼の著作より人気のある小説が8本もあることにも注目しておきたい。
小説家になろう総合日間ランキング

小説家「百田尚樹」とは

彼は2006年、50歳で「永遠の0」で小説家デビューした。「永遠の0」はその後映画化されて大ヒットし、それと共に著作も2014年には400万部を超えるベストセラーになった。彼自身が最高傑作と断言する前作「カエルの楽園」は2016年に出版され、50万部突破と謳われている(画像参照)。しかし、今回の続編はコロナ禍を題材にして、彼自身が自粛生活をする中で独力で書き上げ、出版社の手を介さず無料で公開した。

小説家というのは何か。それはベストセラー作家になって印税を手にして生きることではない。彼は以下のように語っている。

実は昨年(2019年に)63歳で小説家引退を表明していた経緯から表立って出版できなかったという事情がある。しかし彼が「自粛生活で辛い思いをされている皆さんに、小説家の私ができること」を思案して、一刻も早く小説を読んでもらおうという思いがあった。初心にかえって自らの筆力を世に問おうという粋な試みでもあり、個人的にこれに共感するところがあって、生まれて初めて彼の小説を読んだ。
ウィキペディア(Wikipedia):百田尚樹

百田尚樹の年収や収入・本の印税は?経歴と学歴も気になる!

「カエルの楽園2020」感想

寓話(ぐうわ)として執筆されているとおり、比喩によって人間の生活に馴染みの深いできごと(コロナ禍)を見せ、それによって諭すことを意図した物語である。まだ楽しんでいない読者の邪魔にならないように、個人的な感想を述べることにする。

身の回りに展開しているコロナ禍をよく観察してきて、疑問に思うことや言いたいことはある。百田尚樹氏だけでなく多くの言論人や個人が、ユーチューブでもSNSでも情報共有・発信あるいはコミュニケーションしている。彼のユーチューブ動画はときどき視聴していたこともあり、「カエルの楽園2020」を読んだことで、個人的には彼の思想や警鐘をよりよく理解できたと思う。これを寓話にして分かりやすく表現・公開したことで、若者たちや子供たちにも気軽に読んで考えてもらえるだろう。彼の投稿がこの後どのような反響を及ぼすか、興味深く見守りたい。

最後に、この度のコロナ禍と共に巻き起こっている事態は複雑であり、その波及は計り知れないところがある。その展開や未来の可能性をわかりやすく表現して注意を喚起したり、警鐘を鳴らしたりすることは大切な活動である。ここに小説家としての腕の見せどころがあり、寓話という表現は非常に筆の力が試されるところなのだろう。

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