無罪!原発事故、刑事責任は問えない?

東電元経営陣3人に無罪判決~福島原発事故 OurPlanet-TV 2019/09/20 に公開

東京電力福島第1原発事故をめぐり、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電旧経営陣の勝俣恒久元会長、武黒一郎元副社長、武藤栄元副社長の3被告に対し、東京地裁は2019/09/19、いずれも無罪(求刑・禁錮5年)の判決を言い渡した。3人は、原発の主要施設の敷地の高さ(約10メートル)を上回る津波が来ると予想できたのに対策を怠って事故を招き、原発から4・5キロ離れた大熊町の双葉病院と介護老人保健施設・ドーヴィル双葉の入院患者ら44人らを死亡させたなどとして強制起訴された。

判決では、3人が10メートルを超す津波の可能性を知ったのは、武藤被告が2008年6月、武黒被告が同年8月、勝俣被告は2009年2月だったとしたうえで、この時点から津波の対策工事を始めても、東日本大震災までには間に合わなかった可能性が高かったと指摘している。事故を防ぐには2011年3月6日までに原発運転措置を講じるほかなかったが、ライフラインや地域社会に影響を与える原発を停止を決断するほど、津波が起きる科学的な信頼性や合理性はなかったと結論づけた。

これまで事故により被った経済損失の補償が多くの民事訴訟で認定されたが、事故を起こした罪の認定は厳しい判断基準が適用された。業務上過失でかつ不作為の(原発の運転を停止する業務上の責任・義務を果たさなかった)罪を認定するほどには、10メートルを超す津波の発生は必然ではなかったし、たとえ対策工事を行っていたとしても事故は防げなかった可能性もあるので、被告にだけ責任を押し付けられないという判断なのだ。一見正当にみえるが、これでは重大事故の責任を誰も取らなくてよくなり、将来的にも原発による重大事故を防ぐことができなくなってしまう。

福島原発告訴団会見~東電刑事裁判判決後 OurPlanet-TV 2019/09/20 に公開

東京電力福島原発事故・刑事裁判 これでも罪に問えないのですか 【原発耕論 第4回】デモクラシータイムス 2019/03/07 に公開

判決要旨(法廷で永渕裁判長が述べた内容から省略されている部分あり)

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