表現の自由:慰安婦像?

表現の不自由展・その後

愛知県で開かれている国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」が、テロ予告や脅迫などを受けて中止に追い込まれた。河村名古屋市長は税金が使われている展覧会である以上、税金を払っている市民の中に展示を不快に感じるものに対して主催者が制限をかけるのは当然と主張するが、大村愛知県知事が指摘するように、この展示物がアートかどうかにかかわらず、公権力が表現行為に介入することは憲法違反にあたる。

中止は当然との言論がネットでは支配的であるが、これは明らかに「表現の自由」を保証する憲法に違反する行為である。その救済措置として、展示の再会、訴訟などいろいろな方策が検討されており、やがて中止された展示内容を見ることもできるだろう。それに先駆けて、問題になった展示の一つである慰安婦像に注目してよく考えておきたい。それはなぜ、「慰安婦像が国際芸術祭の展示として望ましくない」という意見・主張があるのか、歴史的な背景を含め、日本人としてよく知っておく必要があるからだ。

慰安婦像は芸術として何を表現しているのだろうか。ソウル特別市鍾路区の日本国大使館前に2011/12/14に初めて設置された像は「平和の碑」(現在は「平和の少女像」)と呼ばれている。慰安婦像の制作者は金運成(2011年に像が初めて製作された時、49歳)と金龧炅(2011年に像が初めて製作された時、48歳)の夫婦であり、韓国の彫刻家である。金運成氏は「少女像は数十年間胸の中に隠していた恨みを取り出して、日本の蛮行を責める慰安婦被害者の勇気を尊重するという意味で作った」と制作意図を語っており、短髪に白いチョゴリと黒いスカート姿、隣の椅子、大使館を見つめる視線などに特徴がある。その後、韓国をはじめ、アメリカ合衆国、カナダ、オーストラリア、中華人民共和国、中華民国、ドイツに、次々と慰安婦像が設置され、2018年8月現在、韓国内だけでも100体を超える慰安婦像が存在し、そのほとんどが公有地に設置されている(Wikipediaより)。

このように慰安婦被害者の人権侵害を訴える意図を持つ慰安婦像であるが、芸術としてそれほど深い表現内容ではないように見える。他方、慰安婦が受けた人権侵害について、その事実の真偽、侵害の程度などに関して論争がある(慰安婦問題)。

「表現の自由」を守るためにはそれ相応の覚悟と準備が必要だ by videonewscom 2019/08/10 に公開

慰安婦の真実

最近になって韓国でも慰安婦に関する検証が行われ、議論が展開している。

韓国・ソウル大学の李栄薫教授が、保守言論人鄭奎載氏が主宰するインターネットテレビで12回連続で「李栄薫教授の幻想の国」という韓国近現代史講義を行った。その最終回が「慰安所の女性たち」で、2時間を超える講義が2016/08/22、2016/08/23に3つに分割されてアップされた計2時間10分余に及ぶ内容である。

その中で李教授は「日本軍慰安所管理人の日記」や2万5千円貯金をしていた元慰安婦の証言などさまざまな資料を学問的に引用して日本軍慰安所は、「軍部隊の公娼」と結論づけた。「女性たちは主に人身売買(親がお金を貰って娘を売るなど)や就職詐欺の形で慰安婦になるのが一般的だった。一部の人々の、『軍や警察に不正に拉致された』という主張は、ほとんどが口述記録であり、客観的資料としての信憑性がない」と李教授は指摘している。

李教授は「慰安所の女性をどのように規定すべきか。多くの学者たちは性奴隷という主張を受け入れている。移動の自由がない、監禁生活、日常的な暴力、正当な報酬を受け取っていないという点などを根拠として提示している。ただし、複数の資料を総合的に検討した結果、これはかなりの部分で根拠が不十分である。」と説明し、慰安婦は性奴隷ではなかったと主張している。一方、李氏は講義で歴史的経緯を重視し、韓国軍にも慰安婦制度があったことや、米軍のための韓国人慰安婦が1990年代までいたことを統計資料などから示している。

また「朝鮮人慰安婦が20万人だとすれば、日本人や中国人の慰安婦をすべて合わせた慰安婦は数十万人いなければならないことになる。当時の日本軍が合計250万人だったという点を勘案すれば、計算が合わない。朝鮮人慰安婦は最大でも5000人程度だと見てこそ合理的である。」と説明し、李教授は朝鮮人慰安婦20万人説を否定している。

さらに李氏は、「話をでっち上げて作ったのは日本人だ」と述べ、朝鮮半島で慰安婦狩りを行ったと虚偽証言をした吉田清治氏に言及している(朝日新聞は2014/08/05付の検証紙面で、吉田清治氏が取り上げた記事16本を取り消した)。李氏は「吉田氏のベストセラーが韓国にも伝わり、韓国人は女性がそのように連れて行かれたと思い始めた」と語っている。現在も「慰安婦性奴隷説」を主張し続けている吉見義明・中央大教授の意見について、「吉見氏の本は根拠が不十分だ」と語っている。

問題となった朝日新聞の報道検証と歴史認識問題研究会の慰安婦問題の資料のページに慰安婦問題の経緯が整理されているので以下にリンクしておく。

[日本軍慰安婦問題の真実] by 李承晩TV 2019/05/17 に公開

李栄薫教授による慰安婦問題についての講義1

李栄薫教授による慰安婦問題についての講義2

李栄薫教授による慰安婦問題についての講義3

吉見義明氏(中央大教授)が語る”従軍慰安婦” by 報道するラジオ 2013/05/24 に公開

「慰安婦問題の解決」とは 朴裕河・世宗大学教授 by videonewscom 2015/02/28 に公開

朝日新聞による「慰安婦報道検証 第三者委員会」

歴史認識問題研究会>慰安婦問題

What is “Comfort Women” ? BASIC FACTS

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