草木萌動(そうもくめばえいずる)

七十二候・雨水の末侯「草木萌動:そうもくめばえいずる」の時節(3/1~3/4)に変わり、草木が萌え出す頃となった。だんだんと春めき、暖かい日差しに誘われるかのように、地面や木々の枝々から萌黄色の小さな命がいっせいに芽吹き始める。着々と長くなる陽の光が大地に降り注ぎ、春の兆しは確実な気配へと変わる。

「籠(こ)もよ み籠持(こも)ち 掘串(ふくし)もよ み掘串(ぶくし)持ち この岡に 菜摘むます児(こ) 家告(の)らせ 名告(の)らさね そらみつ 大和の国は おしなべて 我こそ居れ しきなべて 我こそいませ 我こそば 告(の)らめ 家をも 名をも:雄略天皇『万葉集』巻1の1」

「明日よりは 春菜つまむと標めし野に 昨日も今日も雪は降りつつ:山部赤人」

万葉の時代から早春の歌として詠まれ、古くから大切にされてきた風習が春菜摘みである。蓬(よもぎ)やハコベ、芹(セリ)、野蒜(ノビル)、クレソンなどが摘み頃である。桃の節句(ひな祭り)が迫り、ひな祭り用の桃の花や、鮮やかな黄色い菜の花などが山野にあふれる。ピンクと黄色のコントラストが、春の訪れを感じさせてくれる。


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二十四節気 七十二候 名称 意味
雨水(2月19日ごろ) 初候 土脉潤起(つちのしょううるおいおこる) 雨が降って土が湿り気を含む
次候 霞始靆(かすみはじめてたなびく) 霞がたなびき始める
末候 草木萌動(そうもくめばえいずる) 草木が芽吹き始める
啓蟄(3月5日ごろ) 初候 蟄虫啓戸(すごもりむしとをひらく) 冬籠りの虫が出て来る
次候 桃始笑(ももはじめてさく) 桃の花が咲き始める
末候 菜虫化蝶(なむしちょうとなる) 青虫が羽化して紋白蝶になる
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